コラム 基礎知識編
~NFTって何?~
2023年8月8日
今回は最近注目が集まってきているNFTについて取り上げたいと思います。この記事ではNFTとは?NFTによって何ができる、何が変わる?などについて解説していきます。
NFTとは?
NFTとは、Non-Fungible Tokenの略で非代替性トークンを指しており、ブロックチェーンを基盤にして作成された代替不可能なデジタルデータのことです。
NFTの特徴について
NFTには下記3つの特徴があります。
- 代替不可能性(唯一無二性)がある
- 所有者などの記録の改ざんが困難である
- プログラマビリティがある
1.代替不可能性(唯一無二性)がある
- NFTには、オリジナルとまったく同じものをコピーして作成することができないという特徴があります。データであっても現物の絵画や宝石などと同じようにコピーや改ざんができない、一点物を作成することが可能です。
- ブロックチェーンに記録されている識別情報も踏まえて作品ごとに価値が決まり、NFTには従来型のデジタルデータとは違って1つ1つの作品に資産的価値が生じ、NFTマーケットプレイスでの取引が成り立っています。
- この代替不可能性が仮想通貨との違いであり、仮想通貨の場合同じ仮想通貨で代替が可能であるが、NFTには上述の代替不可能性がある点が違いと言えます。
2.所有者などの記録の改ざんが困難である
- NFTはブロックチェーンを基盤にしており、そこに作成者や所有者などの情報が記録されています。ブロックチェーンへのデータの記録は、複数のノード(ブロックチェーンのネットワークを構築するコンピューター端末のこと)による合意形成によっておこなわれている為、仮に悪意のあるユーザーが嘘のデータを記録しようとしても、1人では合意に至らないため改ざんは不可能ということです。
- こうしたことからブロックチェーンによってNFTは高い安全性で管理されています。
3.プログラマビリティがある
- プログラマビリティとは、2次流通で手数料が入るなど、さまざまな付加機能をそのデータ自体に付与できるということです。
- プログラマビリティを利用することで、NFTの作者は2次流通時の手数料や取引数量の制限などを事前にプログラムすることが可能になります。例えば、NFTマーケットプレイスでの二次販売によって所有者が変わっても、その新しい所有者の情報を追加で記録していくことができます。
NFTの活用事例
実際のNFTの活用事例として以下のようなものがあります。
a.NFTアート
- NFT化することによってそこに唯一無二性が生まれ、NFTアートもアナログなアート作品と同じように、売買が行われています。
b.NFTゲーム
- ブロックチェーンを基盤としてキャラクターやアイテムにNFTが用いられているゲームのことで、ブロックチェーンゲーム(BCG)とも呼ばれています。
- NFTを活用することで、サービスを越えたアイテムの取引・レンタル等ができるようになります。
c.不動産NFT
- 不動産の所有権情報をNFT化することで、ネットでの売買が可能になり、不動産情報も透明性を持ち、手続きの簡略化も可能になります。
NFTにリスクはあるの?
NFTによって安全性、透明性、利便性の向上が可能になりますが、一方で懸念点もあります。懸念点については下記が挙げられます。
- NFT作品の価値消失リスク
- マネーロンダリングに悪用される懸念
- コンプライアンスの未整備
- バブル化の懸念
- 環境破壊の懸念
ア、NFT作品の価値消失リスク
- 当該デジタルデータが別のプラットフォームに依拠している場合、プラットフォーマーの運営が終わってしまうとそのデータの価値も消失してしまう懸念があります。
- NFT作品の価値消失リスクにどう対応していくかは今後の課題と言えます。
ィ、マネーロンダリングに悪用される懸念
- 非中央集権的なブロックチェーンプラットフォーム上にある為、マネーロンダリングに悪用される懸念が心配されています。
- 然し、NFTは現状、2次市場の流動性が低く、暗号資産を直接活用したほうがより一層手軽に多額の資金を移転できることを考えると、現金等の方がマネーロンダリングに使いやすいという意見もあります。
ウ、コンプライアンスの未整備
- NFTは、資金決済法上の暗号資産に該当しない為、金融規制の監督外となり、何らかのトラブルが発生しても現状は自己責任となってしまいます。コンプライアンス基準が十分に整備されていない状態の中、トラブルが起こる可能性があるため、各自が責任をもって注意しなくてはならない点があります。
エ、バブル化の懸念
- 現状のNFT市場は、落札価格、取引価格が非常に高くなっており、バブル状態への懸念の声が出ており、十分に注意が必要です。
オ、環境破壊の懸念
- NFTの生成や取引に使われるブロックチェーン技術が、大量のエネルギーを消費している点があります。コンピュータが複雑な計算を競争的に行い、その計算結果によって新たなブロックが生成されるため、多くの電力を消費してしまいます。
- 一方でエネルギー効率の高いシステムへの移行により、ブロックチェーンのエネルギー消費を99.9%削減すると言われているものもある為、環境破壊に対する懸念はかなり軽減されることが期待されています。
NFTにリスクはあるの?
以上、これまでで「NFTとは?」から始まり、活用事例やリスクについて触れてきました。今後も注目が集まっていくであろうブロックチェーン技術の活用の幅は広がっていくと思いますが、皆様の身近なものがNFTが活用される日はもう間近かもしれません。一方で、NFTを謳った詐欺の事例も増えてきているようですので、確りと正しい知識をつけて、正しくNFTを活用していきましょう。
author ABNアドバイザーズ菊池